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FIELD NOTES / WHITE-COLLAR SHIFT

AIでエンジニアの仕事はなくなるのか?──「10年かかる」を3年で撤回した、20年エンジニアの実録

公開日 最終更新日 著者: 黛 政隆(株式会社GembaShift 代表取締役)

エンジニアの仕事は、なくなりました。3年前の私がこの一文を読んだら、「気が早い」と笑っていたと思います。

ChatGPTを初めて触った日、私は「エンジニアの仕事はなくなる」と直感しました。ただ同時に、どんなに早くても10年はかかる、とかなり真剣に考えていました。その予測を、2026年7月に撤回しました。きっかけは Fable 5 です。

これはエンジニアだけの話ではありません。同じ波はデザイナー・データアナリスト・動画編集、そして事務職まで届いています。ホワイトカラー職場の人員計画を決める立場の方にこそ関係のある変化を、20年エンジニアをやってきた私の「予測が外れた3年間」の時系列でそのまま書きます。

Q01AIで、エンジニアの仕事は本当になくなったのですか?

「上流工程以外のコーダー・保守エンジニアという職は、なくなった」というのが、2026年7月時点の私の判断です。Fable 5に保守も細かい修正もテストも任せて、戻ってきたものを確認するだけになった日、最後まで残していた一線が消えました。

私の結論はこうです。 上流工程以外のコーダー・保守エンジニアという職は、2026年7月のFable 5世代でなくなった。20年エンジニアをやってきて、今は企業の現場にAIを入れる仕事をしている人間の、実体験からの認定です。

念のため書いておくと、「エンジニアが全員いらない」ではありません。何を作るべきかを決める上流の仕事は、むしろ重さを増しています。なくなったのは、決まったものを実装し、保守する側の職です。

Q02なぜ「10年かかる」という予測が、3年で外れたのですか?

AIが「部品はきれいに作るが、つなぐと壊す補助輪」から「保守・修正・テストまで任せられる実装者」へ、想定よりはるかに速く進化したからです。私はこの3年間で、見立てを4段階修正しました。

ChatGPTに初めてコードを書かせた日、書けてはいるのに動く製品にはならない、という壁を見ました。当時のAIは部品同士をつなぐところで必ずどこか壊したので、「これは職人の補助輪だ。本体になるには10年」と結論づけました。そこからの修正の記録が、この表です。

時期AIに起きたこと私の見立て
3年前(ChatGPT初体験)部品はきれいに作るが、つなぐところで必ず壊す職人の補助輪。本体になるには10年
約1年後(スタートアップCTO時代)つないだ先が壊れなくなり、壊れた理由を自分で説明し始めた「10年もいらないかもしれない」
2025年(Claude Code登場)自分でコードを書く時間がほぼゼロに。開発が「説明する仕事」に変わった予測はほぼ崩れた。ただし保守はまだ人が要ると一線を残す
2026年7月(Fable 5)保守・修正・テストまで任せて、確認するだけになった最後の一線が消えた。職は、なくなった
エンジニア消滅までの予測修正の時系列
エンジニア消滅までの予測修正の時系列

この間、私はスタートアップのCTOとして数十人のエンジニア組織を作り、全員にAIをフル活用させる体制を整えていました。AIが書いたコードが毎日どれだけ積み上がり、どこで壊れるかを、一番近い席で見続けたうえでの予測修正です。

Q03エンジニア以外の職種にも、同じ波は来ますか?

すでに来ています。デザイナー、データアナリスト、動画編集は、いずれも私自身がAIに任せて回している領域で、外に頼む場面がほぼなくなりました。事務職も同じで、弊社では会計も、その他の事務も、マーケティングもAIに任せています。

実感として一番大きいのは、 「ここに人を雇う」という発想が出てこなくなった ことでした。採用を我慢しているのではなく、選択肢として頭に浮かばない。3年前の自分に言っても信じなかったと思います。

エンジニアで起きたことが、そのまま他の職種で再現されている。これが2026年時点で私が見ている景色です。御社の採用会議でも、そろそろ同じことが起き始めていませんか。

Q04ホワイトカラーの仕事は、すべてなくなるのですか?

なくなるのは「今の」ホワイトカラーの仕事です。仕事が消えるのではなく、需要が移ります。移った先に立てるのは、私の見る限り「AIを使いこなす人」と「業務を説明できる人」の2種類だけでした。

需要が減る職種と、需要が増す2種類の人材
需要が減る職種と、需要が増す2種類の人材
  • AIを使いこなす人──AIに作業を任せて回せる人。ただし向き不向きがあり、ITが苦手な人・興味を持てない人に強要できるものではない
  • 業務を説明できる人──その業務がどういう手順で行われるべきかを、言葉で定義できる人。誰でもできそうに見えて、実際にできる人は驚くほど少ない

私はたまたまエンジニアだったから、使いこなせる側に回れただけです。だからこそ、もう一方の「業務を説明できる人」の道を強くおすすめしています。

Q05なぜ「業務を説明できる人」の需要が増すのですか?

AIがどれだけ賢くなっても、「その業務がどういう手順で行われるべきか」だけは、AIには定義できないからです。作業はAIに移っても、業務の定義は人間にしかできません。

理由はシンプルです。 業務がどういう手順で行われるべきかの定義だけは、AIにはできません。私にもできません。これは私が現場で何度もぶつかってきた壁です。

小ネタをひとつ。Fableは、業務の説明を口で話した文字起こしを渡すだけで、そこから手順書の下書きまで作ってくれます。つまり、説明できる人がいれば、その人自身はAIを触れなくても社内のAI化は進みます。

Q06経営者として、今すぐ何をすればいいですか?

AIの勉強ではありません。全業務について「この業務を説明できる人は誰か」を一度、書き出してみることです。いなければ、育てるかどうかを決める。AIの知識は、その後で十分です。

  1. 全業務について「この業務を説明できる人は誰か」を書き出す
  2. 説明できる人がいない業務を特定する
  3. その業務の説明役を育てるかどうかを決める

10年かかると思っていたことが、3年で起きました。エンジニアの私が最初に体験しましたが、同じ波はもう事務職まで届いています。波が届いてから人を探すより、いま名前を書き出しておく方がずっと楽です。

よくある質問(FAQ)

Q. 事務や会計をAIに任せると、判断まで任せることになりませんか?
A. なりません。私が任せているのは「作業」であって、「決めること」ではありません。判断は今も全部私がしています。ここはAIにどれだけ任せても変わらない線引きです。
Q. AIに事務を任せれば、最初からきれいに回りますか?
A. 回りません。任せて、直して、また任せる、の繰り返しです。特に会計は、うちの処理の癖を伝えきるまで何度もやり直しました。それでも一度馴染めば、そこに人を雇うという発想が出てこなくなるところまで行きます。
Q. ITが苦手な社員は、AI時代に居場所がなくなりますか?
A. なくなりません。「AIを使いこなす人」の道には向き不向きがあり、強要できるものではありませんが、「業務を説明できる人」という需要が増す道があります。説明できる人がいれば、その人がAIを触れなくても社内のAI化は進みます。
Q. デザインや動画編集の外注は、もう不要になりますか?
A. 私の場合は、外に頼む場面がほぼなくなりました。デザイナー・データアナリスト・動画編集は、いずれも私自身がAIに任せて回している領域です(2026年時点の実体験です)。どこまで置き換わるかは業務の中身によりますが、発注前に「これはAIでできないか」を一度疑う価値はあります。

AUTHOR

株式会社GembaShift 代表取締役CEO 黛 政隆

黛 政隆(まゆずみ まさたか)

株式会社GembaShift 代表取締役CEO

エンジニア歴20年、PM経験50件超。生成AIの導入を、現場に入って一緒に組む仕事をしています。 この記事の内容は、著者自身が実際に手を動かして業務で検証した実体験に基づいています。

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